口腔腫瘍

概要

口腔腫瘍は,他の臓器と同様に大きく良性腫瘍と悪性腫瘍(口腔がん)に分けられます.

良性腫瘍には再発が少ない腫瘍がほとんどですが,なかには再発性が高くまれに悪性化する腫瘍もありそれぞれによって治療方法が異なります.

一方,頭頸部がんのひとつである口腔がんは,生命に関わる疾患であり再発や転移の可能性があります.さらに発生する部位によって,舌がん,歯肉がん,口底がん,頬粘膜がん,口蓋がん,口唇がんなどがあります.そのほとんどが扁平上皮癌ですが,その他,腺様嚢胞がん,粘表皮がん,腺がん,顎骨に生じる骨肉腫などがあります.また,血液がんである悪性リンパ腫や多発性骨髄腫が口腔内に発生することもあります.

 

症状

良性腫瘍は自覚症状がないことが多く,顎骨にできるものは明らかに大きくなってから気がつくこともあり,また,細菌感染による痛みや腫れによって気がつくこともあります.一般的には発育速度が遅く,年単位で増大していきます.

口腔がんについては,口内炎のようなものや,白斑が2週間以上消失しない,唇や舌がしびれる,口が開きにくい,あごが腫れてきたなどの症状があればご相談ください.一般的に口腔がんは発育速度が早いことも特徴です.

 

治療

良性腫瘍でも再発性の高い腫瘍に関しては 悪性腫瘍と同じように広範囲に切除することがあります.当科では腫瘍切除と同時に腸骨(腰骨)の移植や,形成外科の協力にて腓骨(足の骨)を移植し顎骨の形態回復,さらに失った歯を保険適応インプラントにて回復いたします.

早期口腔がんに対しては手術療法を第一選択として実施,進行がんに対して手術可能な場合は当院耳鼻咽喉科・頭頸部外科,慶應義塾大学病院と連携,紹介を行っております.

また,歯科口腔外科では舌がん,歯肉がん,頬粘膜がんなどで顎骨や歯を喪失した場合に術後経過が問題なければ広範囲顎骨支持型装置(※)による咬合(かみ合わせ)回復を積極的に行っております.リハビリ科にて咀嚼嚥下評価,訓練が必要な場合はリハビリ科に依頼をさせていただきます.

進行がんで手術が困難な症例に対しては耳鼻咽喉科・頭頸部外科,放射線治療科と連携し化学療法,放射線療法を実施しております.また緩和ケア科や近隣医療機関との連携を行い,患者さんの苦痛を和らげる診療をしております.

広範囲顎骨支持型装置(保険適応インプラント治療)について

腫瘍(口腔がんや口腔腫瘍)や顎骨骨髄炎,外傷などにより広範囲に顎の骨,歯を失った方や永久歯が先天的に6本以上欠損している方に対して,保険診療にてインプラント治療を提供しております.保険適応になるかどうかは担当医の診断によって判断いたします.

他院で手術された方でも手術後のかみ合わせにお困りの方は歯科口腔外科までご相談ください.

 

がん支持療法としての歯科口腔外科の取り組み

−周術期口腔機能管理−

悪性腫瘍などの手術,放射線治療や化学療法の前にがん治療の妨げになるような歯の感染性病巣に対する治療(抜歯など),手術後感染症,誤嚥性肺炎の予防や放射線療法,化学療法中の口腔機能維持を目的とした口腔ケアを実施しております.かかりつけ歯科をお持ちのかたは手術前に受診していただけるよう紹介状を作成いたします.入院中は当院歯科口腔外科にて対応いたします.